「最近のプログラミング言語ってどれがおすすめなんだろう?」
今後のキャリアを考えた技術選定に迷っていませんか?そこで今回は「最新プログラミング言語おすすめ5選」をご紹介いたします。こちらの記事を読むことで、IT業界の将来を見据えたご自身に最適なプログラミング言語の選択ができるようになるでしょう。比較的新しく登場したプログラミング言語についてまとめたので、トレンドについていくためにもぜひ参考にされてみてください。
エンジニアは、一つの技術に依存するとキャリアの幅がどんどん狭まってしまいます。案件が決まらなくなり、年収がダウンしてしまうこともあるでしょう。時代が変化しても必要とされ、社会貢献できる人材であり続けるためには、継続的な技術の学習が欠かせません。この記事を参考に学ぶべき言語・学びたい言語を明確にし、キャリアに役立てていただけましたら幸いです。
将来が期待される人気言語5選
まだまだ発展途上であり、これから将来が期待されるプログラミング言語は以下の5つです。
● Rust
● Kotlin
● Go
● Elixir
● Dart
Rust
Rustの特徴は以下の通りです。
● C/C++に代わる言語
● メモリ安全性を確保する仕組みがある
● マルチスレッドにより複数のタスクを並行処理可能
● コンパクトで高速なコンパイラ型言語
Rustは、2015年に正式版がリリースされた新しい言語です。Stack Overflowが2018年に行った年次調査「Stack Overflow Developer Survey」において「開発者がもっとも愛するプログラミング言語」の栄誉を勝ち取りました。またMicrosoft Security Response Center(MSRC)は、「最も有望なプログラミング言語の1つは、Mozillaによって発明されたRustです」と述べており、セキュリティと効率性の両方の要件を満たす「Rust」を高く評価しています。
引用 Microsoft Security Response Center「A proactive approach to more secure code」
(2019年7月16日)
そのような高い評価もあってか、MicrosoftがWindowsのOS開発で、米GoogleもAndroidのOS開発で、それぞれRustを採用しています。
参考 Microsoft Security Response Center「Using Rust in Windows」(2019年11月7日)
参考 Google Security Blog「Rust in the Android platform」(2021年4月6日)
Kotlin
Kotlinの特徴は以下の通りです。
● Javaのデメリットを解消するよう開発された
● Androidアプリの公式開発言語
● コードが簡潔でバグを発生させにくい
● Kotlin〜Java間の相互運用が可能
● Javaからの移行がしやすい
Kotlinは、Javaの統合開発環境の開発元である「JetBrains」が開発したオブジェクト指向プログラミング言語です。Javaが抱えていたプログラムの冗長さや、安全性の問題を解決する目的で作られました。2017年5月には、Google社がAndroidの開発言語としてKotlinを公式にサポートすると発表しています。
参考 The Kotlin Blog「Kotlin on Android. Now official」(2017年5月17日)
KotlinはJavaとの相互運用を前提に設計された言語のため、ほぼ全てのJavaコードが問題もなく利用できます。また、KotlinからJavaのコードを呼び出すことも、JavaからKotlinのコードを呼び出すことも可能です。コードがシンプルなため、学習コストもそれほど高くありません。Javaを学んだ後にKotlinを学ぶと、学習がスムーズな上にJavaからKotlinへのリプレイス案件にも関わることができるでしょう。
Go
Goの特徴は以下の通りです。
● 基本的な文法や記法はC言語やJavaに近い
● C言語やJavaと同様にコンパイラ言語
● 処理速度が高い
● 様々な有名企業が採用している
Goは、米グーグル(Google)社が開発・公開し、2012年にリリースされた比較的新しいプログラミング言語です。Twitter、PayPal、Netflix、Metaなど、様々な有名企業が採用しています。
参考 Go「Build fast, reliable, and efficient software at scale」(2022年7月4日時点)
Goは汎用性の高い言語でもあり、「プログラミング言語の開発」「開発者向けのツール開発」「IoT開発」「Webアプリ開発」「API開発」など様々な用途に使われています。また並行処理が可能で高い処理速度を出せる点も、C++やJavaに似ているのが特徴です。コードがシンプルで理解しやすいため、学習コストは比較的低いですが「継承」「例外処理」「While文」がなく、混乱される方もいらっしゃるかもしれません。
Elixir
Elixirの特徴は以下の通りです。
● 関数型プログラミング言語
● 拡張性が高い
● 大量の並行処理が可能
● 文法がシンプル
Elixirとは、拡張性と保守性の高いアプリケーションを構築するためにデザインされた、動的な関数型プログラミング言語(関数の組み合わせで目的の処理を実現する言語)です。ElixirはErlangの仮想マシン「BEAM」上で使用することができます。Rubyに影響を受けた言語であることから、文法が分かりやすいのも特徴です。高速に並行処理が作れるため、大量アクセスを捌くようなAPIやサーバーも作りやすいでしょう。
またElixirは、文法が分かりやすいため学習コストも低いです。文法がRubyに非常に近いプログラミング言語であることから、Rubyの実務経験があるエンジニアはさらに低コストで習得できるでしょう。シンプルなコードで記述できるため、読みやすくソースコードの量も少なくてすみます。
Dart
Dartの主な特徴は以下の通りです。
● AndroidとiOSのどちらでも高速に動くアプリが開発できる
● JavaScriptにトランスパイルしてWebフロントエンド開発にも使える
● Webアプリケーション開発も可能
● 静的型付け、動的型付けの両方に対応
Dartは、2011年にGoogleから公開された、ユーザーインターフェースの構築が得意なプログラミング言語です。開発当初は「JavaScriptの置き換え言語」として設計されていましたが、当初の想定に反してJavaScriptの代替言語としては普及しませんでした。その後は、JavaScriptへのトランスパイル(ある言語からある言語へ変換すること)ができる言語として方針転換をしています。しかしプログラミング言語として人気を獲得することができず、Dartはcodementorにおいて2018年に「最も学ぶ価値のないプログラミング言語」で1位とっています。
参考 codementor「Worst Programming Languages to Learn in 2018」(2019年12月26日)
定番人気言語5選
定番の人気言語は以下の5つです。
● Python
● JavaScript
● Java
● PHP
● Ruby
Python
Pythonの特徴は以下の通りです。
● Webサービス、人工知能、データ分析、ブロックチェーンなどが開発でき汎用性が高い
● データ収集、解析などの作業効率化に用いられ、膨大なデータを迅速に処理できる
● 2021年にTIOBEプログラミング言語オブザイヤーを受賞
● コードがシンプルで学びやすい
Pythonは、1991年にオランダ人のグイド・ヴァン・ロッサム氏によって開発されたプログラミング言語です。2021年のTIOBEプログラミング言語オブザイヤー(1年間でもっとも高い評価を得たプログラミング言語に与えられる賞)を受賞しました。コードがシンプルで学びやすいため、プログラミング初心者にもオススメです。誰が書いたコードであっても同じになりやすいため、書きやすく読みやすい言語と言えるでしょう。
JavaScript
JavaScriptの特徴は以下の通りです。
● 汎用性の高い言語
● スマホアプリやゲームも開発できる
● Webページに動きを加えるという役割
● 非同期での通信ができる
JavaScriptでできることは増え続けているため、学習コストは年々増加し続けています。ただしJavaScriptに関する情報は非常に豊富なため、不明点を調べる際にも答えに辿り着きやすいです。学ぶことは多いですが、学習環境は整っている言語と言えるでしょう。環境構築が不要であり、ブラウザとテキストエディタさえあればJavaScriptを動かすことができるため、初心者でも始めやすい言語です。
Java
Javaの特徴は以下の通りです。
● オブジェクト指向型の代表的なプログラミング言語
● どんな環境でも動作する
● 組み込みシステム、Webアプリ、Androidアプリなどが開発できる
● 教材やWeb上の情報が豊富
● プログラミング言語の中でもトップクラスの処理速度
Javaは、Googleが開発に用いている「Google三大言語(Java、C++、Python)」の一つです。基本的にどんな環境でも使える言語のため、現在でも多くの現場で採用されています。システム開発、Web開発、Android向けアプリ開発と、使える場面が多岐にわたる言語です。
最大の特徴は「JVM(Java Virtual Machine:Java仮想マシン)」で動いていることです。Java仮想マシンとは、Javaのために擬似的に作り出されたマシンのことで「コンピュータ本体とJavaの通訳者」のようなものです。JavaはJVM上で動作するため、JVMが動作するコンピュータなら何でも利用できます。そのためWeb上での検索数を記録する「TIOBE INDEX」にて、2019年時点でJavaはシェア1位でした。記述量が多く、学ぶべき項目も多いため、現役エンジニアでも習得に苦戦することがあります。
PHP
PHPの特徴は以下の通りです。
● 需要が高く案件が豊富
● 強力なフレームワークがたくさんある
● 教材やWeb上の情報が豊富
● 78%のWebサイトに使用されている
PHPは、特にWebアプリケーションやWebサイト開発の現場で使用されることが多い言語です。WordPressのコアソフトウェアの大部分はPHPで書かれているため、PHPはWordPressコミュニティにとって非常に重要な言語とされています。またW3Techsによると、PHPのシェアは「サーバーサイドプログラミング言語を使用するすべてのウェブサイトの78%以上」です。コードがシンプルであり、インターネット上にも多くの情報があるため、学習コストは比較的低いと言われています。
Ruby
Rubyの特徴は以下の通りです。
● 自由度が高いプログラミング言語
● 「すべてがオブジェクト」という開発思想
Rubyは、1995年に日本人であるまつもとゆきひろ氏(通称:Matzさん)が開発したプログラミング言語です。Matzは「Ruby ほど楽しさについて焦点を当てている言語は他にない」と語っています。Rubyは主にWebアプリ開発で活用されています。Rubyは、コードがシンプルで読みやすく書きやすい言語であり、日本語の情報がたくさんあるため学習コストは比較的低いと言われています。
プログラミング言語の選び方
プログラミング言語を選ぶ際は、将来性や求人数、開発用途の違い、学習の楽しさなど、ご自身のキャリアプランに応じて様々な観点から考え、最善な判断を下せるようにすることが重要です。例えば、以下のような観点から考えてみると良いでしょう。
● その言語で何を作れるのか
● どういう働き方をしたいのか
● 市場における言語のシェアはどの程度か
● 年々需要が増えている言語か
● 有名企業が採用している言語か
● その技術で働いた場合の年収はどのくらいか
成長速度を高めるためにも、「年収や将来性」だけではなく「学ぶ楽しさ」で言語を選ぶのも重要です。記述のシンプルさ、処理の柔軟さ、実行速度、開発可能なアプリの種類、各言語の強みが活かせる領域など、様々な要素が楽しさにつながります。自身のキャリアプランや作りたいものに応じて、最適な言語を選ぶといいでしょう。各言語の情報をスプレッドシートなどにまとめると、俯瞰して考えられるようになり、最善の判断ができます。
プログラミング言語の学び方
プログラミング言語を学ぶときは「個人開発」をするのがおすすめです。次の5つのステップで進めていきましょう。
● コンセプト設計
● リサーチ
● 設計
● 実装
● テスト
学びたい言語が決まったら、次は開発したいものを決めましょう。自身の生活で起こる不便や、社会の課題を解決できるものを作るとやりがいがあって良いです。例えば、「利用頻度の低いサブスクサービスの解約を忘れやすいエンジニア」が、「サブスク更新日に自動通知し解約の検討を促すアプリ」などを実際に個人開発されたりしています。このように、自身の生活と紐づいていて不便を解消できるアプリだと、開発するモチベーションも湧きますし、悩みが明確である分、要件定義や機能設計もスムーズに進むでしょう。
作りたいものが決まったら、次はリサーチ(市場調査、競合調査)を行います。以下のような観点で情報を集めていくと、より具体的にサービスのコンセプトや実装した方がいい機能が明確になるでしょう。
市場にはどのようなニーズがあるのか?
すでにどのようなニーズが満たされているか?
満たされていないニーズは何か?
将来的にニーズが膨らみそうなモノやコトは何か?
競合はどのような強みを持っているか?
競合の弱みは何か?
リサーチが終了したら、次は「要件定義」「基本設計」「詳細設計」と具体的な設計に落とし込んでいきます。利用者の課題を解決するにあたり、本当に必要な機能やどれだけの性能が必要かを洗い出しましょう。機能に関する「機能要件」や、性能・信頼性・セキュリティなどに関する「非機能要件」を明確にすると、どんどん具体性を帯びてきます。要件定義をしたら基本設計に移り、要件を機能単位に分割し、各機能で実現することを決めましょう。基本設計が終わったら詳細設計に移り、基本設計の内容をどうやって実現するかを明確にしていきます。
全体的な設計が終わったら、次はタスクを洗い出し、開発期間の設定を行い、どんどん実装を進めていきます。その際、ロジック部分から実装してしまうと、機能にばかり目がいってしまい、利用者のニーズからブレてしまうことがあります。また「あれもこれもとりあえず実装しておこう」という心理になりやすいため「フロントエンドの実装に入る頃には燃え尽きてしまっている」という事態にもなりかねません。そのため、まずはフロントエンドのマークアップから始めたほうがいいでしょう。そうすると、余計な機能の実装で消耗せずに済み、UIの検証にもなって一石二鳥です。
一通り実装が終わったら、「単体テスト」「結合テスト」「総合テスト」を行い、開発したアプリが全体としてうまく機能するかどうかを確かめます。その際、テストコードの実装なども行うと、より学べることも多くなるでしょう。
このように個人開発を通して様々な機能を実装していくと、実務に通用するレベルのスキルが身に付きます。併せて、集客の方法や成約率を高める施策、継続利用されるための工夫などまで考えておくと、マーケティングスキルも鍛えられるでしょう。エンジニア業の中でも、アプリ開発だけではなく、ビジネスの分析・課題特定・戦略立案などの上流業務にも関わりたい方は、ぜひマーケティングにもチャレンジされてみてください。
まとめ
将来が期待される人気言語5選は「Dart」「Kotlin」「Rust」「Go」「Elixir」です。また求人数が多い定番人気言語を選びたい場合は、「Python」「JavaScript」「Java」「PHP」「Ruby」を選ぶといいでしょう。もし学習するプログラミング言語を選ぶ時に迷ったら、「求人数が多い」「将来性がある」「学んでいて楽しい」という3つの観点からお選びください。「どれか一つなんて決められない」「色んな言語の経験を積みたい」という方はSESという働き方がおすすめです。技術の美味しいところをつまみ食いする、なんて贅沢な経験もできますよ。