エンジニアの仕事は、個人で行うのではなくコミュニケーションを取りながら行う必要があります。
コミュニケーションが大事な仕事であるからこそ、年齢の離れた昭和世代からZ世代まで円滑にコミュニケーションを取ることが大切です。
特にSESで働くエンジニアは常駐先に在籍している幅広い世代の方と接することが多く、コミュニケーションに悩むこともあるのではないでしょうか。
この記事ではZ世代の特徴や、昭和世代の気を付けたほうが良い言動、Z世代に好印象な言動について紹介します。
Z世代とは?
Z世代とは、1990年代後半〜2000年代に生まれた世代を指します。Z世代の言葉はアメリカで生まれました。
実年齢では2022年現在で11〜22歳の人達です。生まれたときから既にインターネット環境があり、オンラインの世界が当たり前の世代と言えます。
そのため、情報収集はインターネットを通じておこない、テレビ視聴よりもYouTubeやSNSを好むなど、昭和世代とは明らかにライフスタイルが違うのです。
YouTubeやSNSを好む影響から、必要な情報は受け身ではなく自分に必要な情報だけを選ぶ傾向があります。
Z世代の特徴
Z世代は昭和世代とは異なる環境で育ってきました。
生まれたときからインターネット環境が当たり前であるほか、10代で震災やリーマンショックを経験しています。
そうした経験がZ世代には大きな影響を与えているのです。Z世代の特徴について具体的に解説します。
多様性を重要視する
Z世代は昭和世代と異なり、子供の頃から、インターネットで得られるリアルな情報に接してきました。
そのため異なる価値観を受け入れられます。
学校教育でも個性を重視する教育を受けており「人と違うのは当たり前」といった価値観を持っているのです。
また、性的マイノリティ・障害のある方なども素直に受け入れられる度量の広さがあります。
また、Z世代に性別に関する話をすると、セクハラだと捉えられて訴えられることもあるため、気を付けた方が良いでしょう。
新しい情報に詳しい
Z世代は10代からスマホに慣れ親しんでいる人が多いため、新しい情報に詳しいのです。
TwitterやInstagramなどのSNSを通じて知らない人とコミュニケーションを取り、広い世界とつながっています。
また、ニュースも、ネットニュースがあるので最新情報が入ってきやすいです。
他人からの評価を気にする
Z世代は個人の価値観を重視しますが、その一方で他人からの評価を気にします。
他人から自分がどう見られているかを気にする「承認欲求」が強い世代と言えるでしょう。
SNSが当たり前の環境で育ってきたため、家族や仲間との関係を重視するだけではなく、他人からの評価を異様なほど気にする傾向にあります。
プライベートを大切にする
Z世代は仕事とプライベートをきっちりと分けており、昭和世代のように滅私奉公するような働き方は好みません。
仕事についてもバリバリと働くのではなく、プライベートも充実させつつ働きたいと思っている人が多いです。
また、職場の人間関係は仕事だけと割り切っており、プライベートでの交流は好まない傾向があります。
そのため、会社の飲み会への参加も積極的ではありません。飲み会でプライベートを詮索されるのも好きではないでしょう。
物事を現実的に考える
Z世代は不景気な時代で育ったため、物事をポジティブに考えるより現実的に考える傾向があります。
Z世代は震災やリーマンショックなどで親や地域社会が苦しむ姿を見てきた世代です。
そのため、労働や投資についても堅実的な考え方をしています。商品を購入する場合は衝動買いをせず、貯蓄や節約を好むのです。
昭和世代のようにブランド品にこだわりもそれほどありません。しかし、自分にとって本当に必要なものについては惜しむことなく投資します。
モノに対する欲求よりも精神的な豊かさを好む傾向があるでしょう。
昭和世代の気を付けたほうが良い言動
昭和世代とZ世代では育ってきた環境が違うため、知らず知らずのうちにZ世代に嫌がられる言動をしている可能性があります。
ここでは、コミュニケーションを上手くとるためにも、どのような言動に気を付けた方が良いのか紹介していきます。
気合で乗り切ろうとする
昭和世代の上司は「根性論」が当たり前であるため、全て気合で乗り切ろうとします。
例えば、若いエンジニアがソースコードをツール使って書こうとすると、「昔は手で書いていたんだからツールではなく手で書いて覚えるように」と言ったりします。
昭和世代のエンジニアは、プログラミングを手書きでやっていました。
上司に圧力をかけられ、頑張ることが正義だと洗脳されてきたため、下の世代にも同じことを要求します。
しかし、そのような根性論は平成〜令和の時代では、既に時代遅れです。
現代はそのような働き方が原因で過労死、うつ病、パワハラなどさまざまな問題が起きており、ワークライフバランスが求められています。
そうした現状での根性論は、現実主義者であるZ世代には「効率的ではない」「現実的ではない」と嫌がられ、訴えられる可能性もあるでしょう。
飲みに行って仲良くなる
昭和世代は部下を誘って飲みに行こうとすることが多いものです。
エンジニアの場合は、プロジェクトの打ち上げをするといったこともあります。
自分たちが飲み会で親交を深めてきたので、飲み会に誘うことで、職場内の人間関係を良くできると信じているからでしょう。
しかし昭和世代には当たり前の「飲み二ケーション」は、Z世代には嫌がられることが多いです。
オンオフをきっちりと分けることを好むZ世代にとって、上司と一緒の飲み会は苦痛に感じる傾向があります。
Z世代が上司との飲み会で感じるのは以下のことです。
- 仲いい友達と飲むのは楽しいが、上司に気を使いながらの付き合いは疲れる
- 断ったのに、すんなり受け入れてくれなくて面倒くさい
また、昭和世代は飲み会で若い世代に説教をするなど、明らかに望まない行為をする傾向があります。
相手に嫌がられるような言動は慎むべきでしょう。
電話を多用する
昭和世代は電話を多く使いたがりますが、Z世代は電話には消極的です。
普段からSNSなどのメッセージツールで会話をすることが多いため、電話に出る機会が少なく、電話に対して苦手意識がある人も多いです。
また、Z世代は個々の時間を大事にする傾向があるため、自分のタイミングで返せる非同期型コミュニケーションが好まれるでしょう。
チームで仕事をするときなどは、電話ではなくチャット機能などの活用をおすすめします。
人前でネガティブな指導をする
昭和世代がやりがちなのは、部下が問題を起こしたとき、人前でネガティブな指導をすることです。
他の社員がいる前で叱るのは、反省の気持ちよりも恥ずかしいという気持ちが上回り、話の内容が頭に入りません。
特にZ世代は、他人からの評価を気にするため、人前で指導すると逆効果になります。
指導が人格否定の場合もパワハラとなってしまうため、絶対にやめるべきしょう。
反対に、褒めるときは人前で行うと良いです。承認欲求が満たされるため、Z世代には効果があります。
「叱るときは一対一で」「褒めるときは人前で」と覚えておきましょう。
Z世代に好印象な言動
上述のように、昭和世代はZ世代が好まない行動をしがちです。
ではどのような言動なら上手くコミュニケーションが取れるのでしょうか?
ここからZ世代に好印象を与える言動を解説します。
相手の行動を決めつけない
Z世代に対しては、自分の考えを大切にする人が多いため、相手の行動を決めつけないことが大事でしょう。
上司から見たら問題行動のように見えたとしても、どういう考えがあったのかを聞いてみないことにはわかりません。
「言わなくてもわかるだろう」といった考えでは関係改善は望めないでしょう。
SESで働くエンジニアで決めつけてしまいがちな例として、
「エンジニアは自宅に学習できるものがないとダメ」
「資格を保有していないとダメだ」
といったものがあります。
ですが、実際には自宅に学習できるものがなかったり資格がなかったりしても、常駐先で必要な実務ができれば問題ないのです。
そもそも育ってきた環境が違うのですから、固定概念は捨て、相手の考えを聞く意識が大切です。
とにかく否定をせずに話を聞く
Z世代に限った話ではないですが、相手を否定せずに話を聞くことは大切なことです。
特に、自分に自信がない人にとっては、きちんと話を聞いてもらえることは自己肯定感を高めます。
また、否定せずに話を聞くことは、相手の行動を決めつけず、相手のことを認めることになるのです。
SESであればPM(プロパー)の方と上手くいかないといった悩みも出てくるかもしれません。部下が悩んでるなと感じたら、コーヒーでもおごりながら、余計なことは言わずに話を聞くと非常に好印象です。
その上で良かった点や次の目標などを伝えてあげると、上司を信頼し力を発揮できるでしょう。
時代についていこうとする
知りたいことは全てスマホで検索するといった最新のデジタル環境で育ったZ世代です。
Z世代だからこそ知っている情報や、Z世代だからこその速さで情報を仕入れている可能性もあります。
定例会では若手が気軽に発言できるような雰囲気を作ったり、なにか提案があった場合には、「じゃあ一度取り組んでみようか」と言ったりすると良いです。
今まであった古い考え方にとらわれず、新たな時代についていこうという姿勢は皆から信頼を持ってもらいやすくなります。
信頼を持ってもらうことによって、立場別で壁ができることもなく、大変なプロジェクトにも一丸となって取り組めるでしょう。
まとめ
子供の頃からデジタルに触れることが当たり前の1990年代後半〜2000年代生まれの世代です。
Z世代は新聞やTV視聴よりも、Twitter、InstagramといったSNSで情報収集することを好みます。
思春期に震災やリーマンショックを経験しており、経済観念は堅実です。
モノをたくさん持つことよりも自分にとって価値のあるものにお金を使い、精神的な豊かさを好む傾向があります。
今回紹介した「昭和世代の気を付けたほうが良い言動」が必ずしも間違っているわけではないですが、相手が納得してもらうように寄り添った対応をするということが大切です。
そうすれば、より円滑なコミュニケーションが取れるでしょう。